取っ手が左側についているというのに、なぜか右側にいて扉の向こうへ行けないと泣いている人を見た。
それは最初、黄色い服の女の子だったのだが、つい最近、若い男性が黄色い服を着て泣いているので、ちょっと驚いた。
どうして気が付かないのだろう?
もしかすると、扉を開くことではなくて、別の理由があるのだろうか?
ふと、その男性のいる扉の横が90度に折れて別の扉がある。
そこは取っ手がすぐある。
そのことをふっと考えたとき。
男性はその扉を開いて中に入っていった。
中は納戸みたく要らないものがたくさん置かれている。
彼はその中で倒れ込み、頭から大きな黒い渦のようになって再び扉から外へ飛び出した。
渦は黒龍のようにその扉のある家をぐるりと囲むように迂回し、
家の裏側、南東方向へ飛び立ってゆく。
そのねじれたような身体が
エアプランツのフンキアナを連想させた。
一方、男性の体は抜け殻のようにその納戸にとりのこされていたが、
足元から何者かが彼を引き込んでいくように消え、最後鉢植えに飾られた一株のエアプランツになった。
その名前を私は思い出せなかったが、あとで調べるとそのエアプランツの名は
シルシナータ
ということであった。
-2019.12.05 12:24-